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生まれたすぐから湿疹の多いお子さん、アレルギー疾患の多い家系のお子さんで離乳食を始めたあたりからなんとなく湿疹が多くなったお子さん、このような食物アレルギーが疑われるお子さんが成長し、いざ離乳食を進める頃になってから「何を食べさせてよいか」迷うと思います。また、今までゆで卵を食べて何もなかったけど保育園で卵を食べたら顔が赤くなり、保育園から「病院でしっかり血液検査をして診断を聞いて来て下さい」といわれてしまったお母さん(これって結構よくあることですが)これからの対応?困りますね。

 

食物アレルギーの診断する上で大切なこと「食物アレルギーは食材を食べた後に症状が現れて初めて診断できます(症状がないのに)検査だけで診断すべきではありません」

小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン2016」にも記載されていますが「皮層症状が続くからといって、ただ検査をして食事制限の指導をするのではなく、まずスキンケアにより皮膚症状を改善し、それでも症状が継続・再燃するのであれば、そこで初めて食物アレルギーを考える」のがスタンダードな対応です。血液検査(特異的IgE抗体検査)は、あくまで診断の補助であって、その値が高いからといって症状が発現するとは限りません。アレルゲン摂取後に症状が繰り返し出ることを確認せず、検査の値が高いことだけを理由に除去指導をしてしまえば、過剰な指導になりかねず、患児の成長発達を妨げてしまう恐れもあります。

 

目の前のお子さんにまず何をすべきか?

まずは皮層症状のコントロール

すべすべの肌を維持することが大切です。これだけでアレルギーの発病を予防できるというデータが昨今多く報告されてきています。

(乳児期からのスキンケア、経皮感作のお話、アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法、徹底したスキンケアによるアレルギー予防などの資料は別にあります)

 

「食物アレルギー診療ガイドライン2016」や「食物アレルギーの診療の手引き2014」では、スキンケア指導を実施しても症状が改善しなかったり、塗り薬をやめると症状が再燃する場合に初めて血液検査を行うよう記載されています。

治療管理の基本は、正しい診断に基づいた「必要最小限の原因食物の除去」です。必要最小限の除去とは、「食べると症状が誘発される食物だけを除去し、原因食物であっても症状が誘発されない程度の『食べられる範囲』までは積極的に食べるようにすること」とです。

次に当院で行っている「徹底したスキンケア行い皮膚状態をコントロールしつつ、離乳食の中に少しずつアレルゲンとなる食物を混ぜて摂取させながら症状が出るかを評価する方法」を紹介します。

当院の取り組み

スキンケアの方法などを指導して皮膚状態をコントロールしつつ(湿疹を放置しない!)離乳食の中に少しずつアレルゲンとなる食物を混ぜて摂取させながら症状が出るかを評価していきます。

 

離乳食に微量のアレルゲン追加する方法

まず、湿疹はスキンケアにより徹底的に改善させましょう。

離乳食開始は遅らせない!5〜6カ月までに始めましょう。アレルギーが心配だから原因になるかもしれない食材を制限することは間違いです。

卵が原因食物と疑われるお子さんでは(心配な場合でもいいです)、離乳食を作るときに1日1回食事に卵ボーロ1粒の4分の1量を溶かして与えそれを月曜から金曜まで続けて症状が現れるかを確認する。卵ボーロ1個に含まれる抗原量は卵黄が12mg、卵白が6mg。その4分の1量から始めるため、摂取する抗原量としては少なく、万が一症状が現れても重篤にはならない量です。

原因食物として牛乳が疑われる場合は、卵ボーロやヨーグルト1滴から、

小麦の場合は、冷凍うどん約1グラム(4cmくらい)から始める。(これらは病院で行う食物経口負荷試験に用いる抗原量よりもかなり少ない量です)

 

アナフィラキシーガイドラインの重症度分類(一番最後の図)を参考に、症状が出なければ摂取量を徐々に増やしていきます。逆に、症状が出た場合は、もう1回同じ症状がでるかどうかを確認するため、1日空けてから再び同量摂取してみましょう(下図)。注意点:口の周りに付着した唾液や食べ物によって肌荒れしただけなど、他の要因が影響して症状が現れることがあります。できるだけ口の周りに付かないよう食べさせてください。食べた後に症状が現れることを最低2回は確認してください。症状が現れた場合には来院してください。

症状の「あるなし」「その強さ」などによって、再び摂取するか、中止するか、増量するかどうかの判断基準を表にまとめました。

「×:明らかな症状」とは、下図のアレルギー症状の「皮膚症状での中等度、消化器症状の場合は軽症以上」を目安にします。

症状が確認されたら血液検査(特異的IgE抗体検査)を行い、その値を参考にして本当に食物アレルギーかどうか診断します。

症状が軽い場合:食物アレルギーと診断してからもずっと除去するのではなく、1歳ごろまでに卵は硬ゆで卵半分程度、小麦はうどん50〜100グラム程度、2歳頃までに牛乳は25〜100mLを食べられるようにすることを最初の目標とします。

具体的な与え方(増やし方):卵の場合、卵ボーロ1/4個を毎日1週間(月〜金)、次の週1/2個、その次の週は1個と増やしていき、2カ月間で卵ボーロ32粒(卵黄0.4g、卵白0.2gにあたる)が問題なく摂取できるようにし、次に硬ゆで卵黄1/16個(直径1cm角、卵黄1.2g)、1/8、1/4、1/2個まで1週間毎増やします。次に硬ゆで卵白1/64個(直径0.5cm角、卵白0,5g)から同様に1週間毎増やします。ただしこの方法を実施するのは症状が軽かったり、症状の発症頻度が低いと考えられる場合です。

 症状が重い方:過去に現れた症状が局所の皮疹で済まない場合、卵であれば特異的IgE抗体検査の結果がクラス3以上、複数の食材で症状が出る場合は、専門医のいる病院に紹介して経口負荷試験の実施をお願いすることがあります。

発熱時や体調が悪い日には摂取は避けてください。

 

万が一アレルギー症状が現れたときに備え症状がでた場合の対処法を確認しておいてくささい。アレルギー症状の重症度の段階が示された図表を示します(下図)。

症状が現れたときに速やかに受診できるよう、医療機関が開いている午前中に食べさせ、その後2時間は必ず様子を見るようにしましょう。