伝染性紅斑は、別名、りんご病、第五病などと呼ばれ、ヒトパルボウイルスB19型というウイルスによっておこります。
両方のほっぺたに大きな赤い斑ができます。赤い円の部分は少し盛り上がっていて、手で触れてみると少し赤くなっています。典型的な経過では、ほっぺたの紅斑が出現後、1〜2日後に腕や大腿部(ふともも)に、豆粒から爪の大きさ位の細かい紅斑が出現し、手のひらや足の裏にまでおよび、次第に癒合した後、退色し、レース状・網目状・大理石状などと表現される薄赤い斑を呈します。約半数にかゆみを認めます。
これらの発疹は1週間位で自然に消失しますが、運動、入浴、日光、摩擦などの機械的刺激で再発が10〜30%に認めることがあります。
軽い咳や鼻水、あるいは軽い発熱を伴ったり、年長児では頭痛、咽頭痛、関節痛を生じることもありますが、大抵の場合、発疹以外に症状が見られません。
感染経路は、一般に空気を介する飛沫感染ですが、偶発的に輸血や血液製剤を介して侵入することもあります。赤血球の元になる造血細胞に感染し、その分化増殖を停止させます。
こわそうなウイルスですが、健康なお子さんは何も苦痛はなく元気にしているうちに治ってしまい、特別な治療法はありませんし、実際に治療は要しません。
ただし、特別な貧血の病気をもっていたりや免疫が低下している人は血液が作られる骨髄の機能が侵される危険があります。
胎児(お母さんのお腹のなかにいる赤ちゃん)も同様に免疫や造血の働きが未熟なため、妊婦さんが感染した場合死産や流産の原因になることがあります。
りんご病の子の幼稚園・保育園・学校への登園・登校は禁止する必要は医学的・社会的にありません。この病気のウイルスが伝染力を持つ期間は、顔面の紅斑が出現する1週間〜3週間ほど前にみられるかぜのような症状がでる頃で、発症したとき(ほっぺたが赤くなったとき)にはすでに隔離の必要はありません。
また、感染してもほっぺたが赤くならない(発病しない、不顕性感染)の子も沢山いて、ほっぺたが赤いだけで登園・登校を禁止する意味・必要性はないのです。
では「妊娠中の保母さんが働いている保育園で伝染性紅斑の子供がでたらどうしたらよいか」ということが問題になるでしょう。上述したように、伝染性紅斑の子を休ませても意味がありません。
ではどうしたら感染の拡大を防止できるかというと、その方法はありません。妊娠中の女性は仕事を休むと決めるわけにもいきませんから、自衛策として妊婦さんにできることとしましては、りんご病は妊婦・胎児にとって怖い病気であるとい認識をもって、流行に気を付けること、接触を避けることぐらいでしょう。
こどもの病気に
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