こどもの病気が重いか軽いか、緊急性があるか急がなくてもよいか、を見分けるのは医者の最も基本的なことです。

日々の診療で、医者が行っている「病気の見分け方」「重い病気、軽い病気の見分け方」には、はっきりいって「標準」とされるようなマニュアルはありません。その医者の病気に対する考え方や診療の方法によって異なります。

医学にも未知の部分が少なくなく(あるいは、解明されているのはほんのわずかな部分である、といった方が正確かもしれない)また人それぞれには流儀があます。

物事を楽観的にみる人は「このくらいなら大丈夫」と考えがちですし、逆に慎重で悲観的にとりやすい人は「大事をとって」という判断が多くなるでしょう。

同じことが親の場合でも起こります。

それぞれの性格とか人生観、生活事情とか過去の体験などによってかなり違ってくるようです。

しかしながら、こどもの病気の状態は、診察室という特殊な場所でほんの短時間診察するだけの医者よりも、その子と暮らしをともにしている親の方がよく観察できるはずですし、医者は親の話を聞かなければ診断がつけにくいのです。

 

あらゆる病状に対して、それぞれ注意する点を述べるのは紙面の関係上無理がありますので、ここでは共通して注意すべき点をあげてみました。

最も大切なのは「子供の三大特権」:

1.遊ぶ 

2.食べる 

3.眠る

という3点が保たれているかどうかです。

これらのどれか一つでもしなくなったとき、すなわち、

遊ばないで、オモチャに手をのばさなくなり、ぐったしている。

一回位は食事を抜かすことはよくあるが、二食以上全く食べなくなる。

すやすやと眠らず、眠りも浅く熟睡できない。

こんな症状が現われたら注意してみてゆく必要があります。

逆にいうと、40度の熱がでていても、オモチャで遊んで、食欲もまあまあ保たれ、寝ているようなら、慌てる必要はなく、夜中でしたら明日まで待てると判断してよいでしょう。

 

ところで、外来で問題となるのは、本人や医者の判断と、親の判断にズレがある場合で、やはり親の方が悪いほうに考える傾向にあります。

しかし大切なのは、

最高の観察者であるお母さんの

「何かおかしい、いつもと違う」という直感です。

 

不安なことが少しでもあるなら遠慮することはありません。

医者に連れてゆき、不安を医者に話してください。

その結果をみて次の判断に役立てればよいわけで、そうした経験を積んで親としての判断の幅が出てくると思いますし、自分の感覚・判断力をみがき大切にしてゆくことが可能となります。