麻疹(はしか)ワクチンの問題点
Q1.麻疹ワクチンを接種したのに麻疹にかかることがありますか?
A.麻疹ワクチンを接種した子供の95〜98%が、接種後麻疹の抗体(いわゆる抵抗力)を獲得します。10年以上経っても90〜95%近く抵抗力が維持されています。しかし、この報告はあくまでも麻疹がかなり流行している地域でのデータであり、この後のデータが示しますように最近はそのように安心している訳にはいかなくなってきてます。以下のような場合はワクチンをしているのに麻疹にかかることがあります。
1. 麻疹ワクチン接種直後に病気になった場合
麻疹ワクチン接種当日あるいは翌日に、ワクチンによる発熱ではなく「かぜ」による高熱をだしたとき、インターフェロンなどのウイルスの増殖を抑える物質が血液中に出るためワクチンウイルスの増殖がさまたげられます。このような場合にはワクチンによる抵抗力が充分つかず、麻疹が流行した時にはかかってしまうことがあります。ワクチン接種直後に発熱された方は、接種後1ヵ月以上経過してから抗体検査を受けられることを勧めます。
2. 麻疹ワクチン接種後長い年月はしかの流行がない場合
以前には麻疹、おたふくかぜ、風疹等のウイルス感染症は1度かかると2度はかからない(終生免疫)と考えられ、生ワクチン接種の場合も同様に免疫は終生続くと考えられていました。しかし、感染を防ぐだけの抗体が維持されるのは、麻疹がときどき流行して、麻疹のウイルスと接触しているためです。本物の麻疹ウイルスに接触しないと当然免疫はどんどん低下していきます。
流行のないグリーンランドの孤島で実施されたワクチン接種後の追跡調査によりますと、5年後には麻疹HI抗体陽性者(抵抗力のある人)は95%でありましたが、16年後には43%にまで減少していたとの報告があります。このように、近年麻疹の流行が減少して本物の麻疹ウイルスに接触する機会が少くなってきましたので、麻疹ワクチン接種による免疫が低下して、麻疹の予防接種を受けたのに麻疹に罹ってしまう例が増えています。
沼津市のデータ(重要):平成16年春の学童生活習慣病検診にて、学童に麻疹に対する抵抗力があるかどうかを調査しましたところ、小さい時に麻疹ワクチンをしているのにもかかわらず、かなりの生徒さん(40%位)に麻疹の免疫がないことが分りました。もしこの地域の小中学校で麻疹がでた場合、集団感染となりうるという、かなり危機的状況にあります。
通常、麻疹はワクチンの接種によって予防できる病気です。WHOではすべての小児への2回接種を勧奨しています。実際、アメリカの他、いくつかの国では2回接種されておりそれなりの効果を発揮しています。
平成18年度から麻疹ワクチンは2回接種が公費で可能になりました。厚労省は平成18年4月から麻疹風疹のワクチン接種を2回にすることを決定しました。新2種混合ワクチン(MRワクチン)が使用され、麻疹と風疹の混合ワクチンとなります。
具体的には:生後12ヶ月から24ヶ月の間に出来るだけ早く1回目(1才過ぎたらすぐ接種しましょう)
2回目小学1年生になる1年前から就学するまでの年長さんの間にもう1回追加接種します。
詳細はこちら
|