子供が発熱すると恐怖にかられて取り乱してしまうお母さん、お父さんが多いけれど、「発熱自体はそんなに怖いものではない」ということは常日頃診療の合間にご説明している通りです(例外:生後3-4ケ月(特に2ケ月未満)の赤ちゃんの熱)。
高熱だからといって重症とはかぎりません。高熱でも軽い病気であることがほとんどですし、低い熱でもときには重大な病気が潜んでいることもあるのです。
「でも高熱はこわい」「脳が冒されるのではないか」と尋ねられることもしばしばです。
高熱は脳に影響しません。41℃以下なら大丈夫です。
また風邪の場合一度熱がでたら3日位続くのはあたりまえ、高熱が出て翌日には下がったら「幸運なケース」と思ってください。
熱は本来からだの生体防御反応の一つで、免疫力を高めウイルスや細菌の攻撃をおさえる働きを持っていることは医学的に認められています。
解熱剤の使用はそれに反することをしていることになります。
また解熱剤を使った場合の害を見逃せません。害としては、
1. 副作用(肝障害、胃腸障害、薬疹など。)
2. 発熱の持つ生体防御作用を妨げ病気を長引かせる可能性。
3. 体温の非生理的な上がり下がりによる不快感
などです。
ゆえに39℃位までの熱は医学的な見地からすれば解熱剤で抑える必要はないというのは定説になってきているようです。
しかし高熱になるとぐったりして苦痛を訴える子供はいますし、そんなときの本人・家族の希望は「病気を治す」ことよりも「不快な症状から逃れる、それもできるだけ早く」ということでしょう。
以上をふまえて考えるに、
解熱剤は出来るだけ使用しないことを原則とし、高熱だからといって一律に使用せず、
熱に伴う「不快な症状」で本人が苦痛を訴える時に限り使用する。
ってとこでしょう。
ところで、発熱のとき解熱剤を使用しないで楽にすごす方法としては、
1.自由にさせること。
子供は体調に正直で無理はしません。じっと寝ていられないようなら好きなように遊ばせておけば楽しいでしょうし、楽しければ病気を治す力だって沸きだしてくるでしょう。
2. 快適な環境。
看病の基本は「本人が」「気持ちがよい」ことです。熱といっても、ゾクゾクして寒い熱、カッカとして熱い熱、節々が痛い熱、ポーとして浮いたような熱、全然なんともない熱など、いろいろです。「寒い、寒い」といているときにアイスバックなどで冷やしたり、あつがって布団を蹴飛ばしている子に厚着をさせて布団に包んだりしているのはかわいそうです。体温計の数字で判断せず、子供自身に聞き、その様子をみて、「気持ちがよい」ようにしてあげることです。
3.甘えさせる。
できるだけ一緒にいてかまってあげること。ただ親の事情や体調もあるでしょうから、それらの許す範囲で。
このように述べてきますと、解熱剤を使用すること、使うかどうか迷うことよりも、もっと大切なことが沢山あることがわかってきます。
こどもの病気に
一般診察に |