水痘とは

水痘(水ぼうそう)はこどもにとってありふれた病気です。赤い発疹がおなかや背中に出始め、水をもったようになり、口の中から陰部、頭の中まで全身に出ます。90%の人が10歳以内にかかります。伝染性のウイルス疾患のなかでも特に伝染力が強く、兄弟はまずうつります。

水痘に感染してから発疹がでてくるまでの期間は11日から21日(平均15日)です。ウイルスの感染経路は口からで、咽にいったん感染して、そこで増え、2次性のウイルス血症をおこして全身にウイルスがまき散らされて水疱が出現します。

症状は水疱が全身に出現すること以外に、かゆみ、発熱、咳などがあります。水疱は1週間位でかさぶたを作り表面が黒く乾燥します。時間の経過と共にフレッシュなものから黒く乾燥したものまで新旧さまざまなものが入り乱れます。

全ての水疱が乾ききるまでは、家にいて、他の子に接触しないようにしてください。治療はかゆみをコントロールしてあげることが重要です。かゆみ止めの塗り薬と、飲み薬を処方します。化膿したときは抗生物質を処方することもあります。家庭では、ひっかかいてかきこわさないように爪は短く切っておき、赤ちゃんなら手袋をするのもよいでしょう。お風呂でシャワーを使いさっと汗を流しておくほうが、かゆみも少なく化膿することも少ないようです。石鹸も使用してかまいません。食事は何でも食べてかまいませんが、口のなかに水疱ができて痛がるときは、くちあたりの良いもの食べさせてあげてください。発熱が4日以上続く場合、ぐったりして元気が無い場合、咳がひどくでる場合などは、もう一度診察を受けるようにしてください。


 水痘自体は、自然に治る病気ですので、発病したら自然に治癒するのを待てばよいという考え方もありますが、発病後できるだけ早期にアシクロビル(水痘を含むヘルペスウイルスの特効薬)という水痘の特効薬を使用すると、軽くすぐに治ります。特別なお子さん(特別な病気の子、重症アトピーなどで皮膚が弱い子など)にはアシクロビルを積極的に使用するべきと考えます。使用すると確かに発病・重症化の予防効果があり、重症の水痘に使うと熱もすぐ下がり元気になります。

水ぼうそうの子と接触してしまい、発病させたくない場合、接触後72時間以内にワクチンを接種して感染をブロックする方法があります。

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水痘ワクチンを受けようと思っている方へ

 

 水痘ワクチンは、これまで本人・御家族の希望で行う予防接種(任意接種)でしたが、平成26年10月から一部の年齢層を対象に定期接種になりました。

水痘ワクチンの有効率は80%強です。すなわち、ときには接種したにもかかわらず水痘にかかる人がありますが、多くは軽くすみます。
 たまたまどこかで水痘の人(水痘に罹って治っていないで他人にうつる可能性のある人)と接触した場合、72時間以内にこのワクチンを接種すれば発病しないですむ可能性があります。以下に水痘ワクチンの副反応について説明します。


水痘(水ぼうそう)ワクチンの副反応


★まれに接種後1〜3週間ごろ発熱・発疹が出現することがありますが、一過性で通常数日中に消失します。また局所症状として発赤・腫脹・硬結が接種部位に現われることがあります。
★急なアレルギー反応 まれにワクチン添加物により、接種直後(30分以内)に接種部位の発赤腫脹、じんましん、浮腫、呼吸困難、アナフィラキシーショックなどの急なアレルギー症状が出る場合があります。同じくワクチン自体のアレルギー反応として、接種後〜1日半以内に全身、手足等の一部に発疹・発赤を生じることがあります。
★水痘様の水疱 接種後14〜30日後に軽症の水痘様の水疱が認められた、との報告があります。
★鼻出血・紫斑・粘膜出血 まれに(100万人接種あたり1人程度)接種後数日から3週間ごろに急性血小板減少性紫斑病を発症して出血しやすくなることがあります。


家での対処法


発熱 一般的処置として、冷やしてあげましょう。38.5℃以上で機嫌が悪いときは手持ちの解熱剤を与えましょう。ワクチン以外の原因も考えられるので翌日受診して診察を受けてください。
水痘様の水疱(水ぶくれ)が生じた場合は、こすってつぶさないようにしてください。翌日受診し塗薬を処方してもらいましょう。
局所の発赤、腫脹 ぬれタオルで冷やしてあげましょう。万が一、腫れが強かったり、水ぶくれを作ったときは塗りぐすりを処方することもありますので、翌日受診してください。
発疹・発赤 全身状態が悪くなければ何もしないで翌日診察を受けてください。かゆみが強くて眠れないとか、発熱を伴っている、極端に不機嫌であるなどの症状が伴っているときは医師に連絡してください。
その他、心配なことがあれば遠慮なく医師に連絡してご相談ください。

◆◆◆ 接種手順 ◆◆◆   


@受付、体温測定、問診票の記入
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A予診:問診票を見ながら、医師が接種に際し何か問題がないか確認します。その後、聴診器で胸の音を聴いたり、のどに異常がないか診察します。
              ・
B医師のサイン、保護者のサイン:予診と診察で問題なく接種可能と医師が判断したらサインします。そして保護者の方も接種に同意されたらサインしてください(お子さんを連れてきた方の名前でサイン)。
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C注射:上腕部にします。いやがって動く子もいますので、保護者の方はお子さんの体と反対がわの手をしっかり抱きかかえてください。注射をする方の手は医師と看護婦が持ちます。注射部位は接種後看護婦がかるく2〜3回もみますので、その後はもんだり、こすったりしないようにしてください。
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D経過観察:接種後30分間は院内か駐車場の車の中でお子さんの様子を観察します。長いと感じるかもしれませんが、急な副反応(ショックなど)はこの間に起こることがほどんどですので、必ず医師にすぐに連絡がとれるようにしていてください。
              ・
E帰宅:接種当日は入浴は差し支えありません。激しい運動は避けましょう。注射部位はこすったり不潔にしないようにしてください。

◆◆◆ 今後のスケジュール ◆◆◆ 

他のワクチン
(ポリオ、BCG、日本脳炎、おたふく、三種混合ワクチンなど)は、
水痘ワクチン接種後4週間たっていれば接種が可能です。

 

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