風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を主な症状とするウイルス性発疹症です。 風疹ウイルスは患者さんの飛まつ(唾液のしぶき)などによってほかの人にうつります。発疹のでる2−3日まえから発疹がでたあとの5日くらいまでの患者さんは感染力があると考えられています。

最近はその発生は減少傾向にありますが、まれに見られる先天性風疹症候群予防のために、妊娠可能年齢およびそれ以前の女性に対するワクチン対策が大切な感染症です。


症状


 感染してから14〜21日(平均16〜18日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現しますが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です。


 発疹は多くの場合、赤く、小さく、皮膚面よりやや盛り上がって、消えるのに数日間かかります。リンパ節は発疹の出現する数日前より腫れはじめ、3〜6週間位続きます。
合併症: 血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)、急性脳炎(1/4,000〜6,000人)などの合併症をみることもありますが、これらの予後もほとんど良好です。成人では、手指のこわばりや痛みを訴えることも多く、関節炎を伴うこともあります(5〜30%)が、そのほとんどは一過性です。


 風疹に伴う最大の問題は、妊娠前半期の妊婦の初感染により、風疹ウイルス感染が胎児におよび、先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群が高率に出現することにあります。これは妊娠中の感染時期により重症度、症状の発現時期が様々です。先天異常として発生するものとしては、先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症などが挙げられます。先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、間質性肺炎、髄膜脳炎などが挙げられます。

 

診断


 血液検査で風疹に対する抗体を調べる血清診断は保険適応にもなっており、一般的に用いられています。赤血球凝集抑制反応(HI)で急性期と回復期の抗体価で4倍以上の上昇により診断する方法と、 酵素抗体法(ELISA)という急性期に上昇する特異的IgM抗体を検出する診断も可能です。

 

治療・予防


 特異的治療法はありません。症状に対してそれを和らげるような対症的治療を行います。発熱、関節炎などに対しては解熱鎮痛剤を用いることがあります。
 ワクチンが実用化され、広く使われています。風疹に対する免疫を有しない女性が妊娠した場合に風疹の初感染を受ければ、先天性風疹症候群発生の危険性が高いことは明らかであり、現時点では乳児期のみならず中学生や免疫の弱い世代の成人に対しても風疹ワクチン接種を積極的にすすめる必要があると思います。

 

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