文部省学校保健調査報告書によると、日本のこども達の肥満児は、過去30年間で約3倍に増加しています。
また15歳以下の小児の2型糖尿病(成人型の糖尿病)罹患率は過去15年間で約2.5倍になり、1型糖尿病の発生頻度の約3
倍となっています。このうち約80%の症例は肥満を伴っています。
乳児肥満の大半は12歳まで継続することはありません。しかし、成人肥満の半分くらいは思春期からの肥満を引きずっていて、肥満の形成期は学童期ということになります。
従って小児期から肥満を予防、治療していく必要があります。
表1 小児肥満症の診断基準
肥満児の判定:
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18歳未満の小児で肥満度が20%以上、
かつ有意に体脂肪率が増加した状態
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体脂肪率の基準値は以下のとおりである(測定法を問わない)
男児(小児期全般):25%
女児11歳未満:30%、11歳以上:35% |
肥満症の定義
肥満症とは肥満に起因ないし関連して健康を害した病気を合併する場合です。
肥満症の診断:5歳0ヶ月以降の肥満児で下記のいずれかの条件を満たすもの。
(1) A項目を1つ以上有するもの。
(2) 肥満度が50%以上でB項目の1つ以上有するもの。
(3) 肥満度が50%未満でB項目の2つ以上有するもの。
A.肥満治療が特に必要となる医学的問題
(1) 高血圧
(2) 睡眠時無呼吸など肺換気障害
(3) 2型糖尿病、耐糖能障害
(4) 腹囲増加または臍部CTで内臓脂肪蓄積
B.肥満と関連の深い代謝異常など
(1) 肝機能障害
(2) 高インスリン血症
(3) 高コレステロール血症
(4) 高中性脂肪血症
(5) 低HDLコレステロール血症
(6) 黒色表皮症
(7) 高尿酸血症
治療は、単に食事・運動を指導しても効果はあがらず、本人を含めた家族全体で食行動を意識することが必要である。
継続が大切!!! とにかく続けること!!!
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肥満度
肥満かどうかは肥満度を用います(乳児にはカウプ指数も用いられます)。
肥満度(%)={実測体重(kg)−標準体重(kg)}÷ 標準体重×100
※20%以上が肥満。
20〜29%=軽度肥満
30〜39%=中等度肥満
40%以上=高度肥満
カウプ指数=体重(g)÷{身長(cm)×身長(cm)}×10
(14〜18を正常範囲とする)

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