小児・若年成人が中心に流行する(1歳以下には比較的少ない)病気で、マイコプラズマ という微生物(細菌とウィルスの中間くらいの大きさ)が原因となり、感染が起こります。 近年の細菌性肺炎の減少に伴い、マイコプラズマ肺炎の肺炎全体に占める割合は高まりつつあります。小児科では頻度の高い感染症の一つであり、乳幼児では感染は見られるが、不顕性あるいは軽症に経過することが多く、幼児期、学童期、青年期に多くみうけられます。また再感染もあります。

マイコプラズマは他の細菌と異なり細胞壁を持たないため多形態性を示し、ペニシリン、セフェムなどの細胞壁合成阻害の抗生物質には感受性がありません(これらの薬剤が効きません)。
 感染様式は感染患者からの飛沫感染によります。気道粘液への病原体の排出は初発症状発現後、2〜8日でみられるとされています。潜伏期は最初の吸入菌量に依存して、6〜32日と長いため学校・幼稚園等の施設内で流行が起こると数ヶ月蔓延することがあります。

1歳の誕生日までに「40%」、5歳までに「65%」の子供が、大人まででは「97%」が一度は感染を経験しているそうです。

症状


 主な症状は咳と発熱ですが、最初は全身倦怠感、発熱と頭痛で始まることが多いようです。咳は初発症状後3〜5日くらいから始まることが多く、当初は乾性の咳でありますが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続きます(3〜4週間)。特に年長児や青年では後期には痰のからんだ咳となることが多く、また小児では喘鳴を認めることが多いという報告もあります。その他に嗄声、耳痛、咽頭痛、胃腸症状、胸痛が約25%でみられると報告されています。肺炎のわりには元気で、一般状態も悪くないと言うことがこの疾患の特徴であると考えられます。

合併症としては、中耳炎、発疹、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎などがあります。

聴診上異常音、特有な臨床経過、胸部レ線上異常陰影、血液検査等に診断します。

治療・予防


 治療は、抗生剤による化学療法が基本です。ペニシリン系やセフェム系などβ-ラクタム剤には効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系抗生剤が効きます。
 特異的な予防方法はなく、流行期には手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行と患者との濃厚な接触を避けること位であります。

学校保健法での取り扱い


学校保健法によって定められた「学校において予防すべき伝染病」である学校伝染病の中の「その他の伝染病」に分類され、 学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第三種の伝染病としての措置を講じることができる疾患です。条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる伝染病のひとつに指定されています。

一応、主治医の許可をもらってから登校するようにしましょう。

 

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