おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は耳や顎の下の唾液腺(つばを分泌する臓器)の炎症を生じる伝染病です。耳の下の耳下腺、顎の下の顎下腺が腫れて痛がります。たいてい耳下腺が左右とも腫れますが、片方だけのこともあり、耳下腺・顎下腺(合計で4つ)が全て腫れることもあります。腫れは約1週間でひきます。熱は必ずしも生じるわけではありませんが、4〜5日でおちつきます。


 治療は、熱や痛みをおさえる薬を処方します。痛がるときは冷湿布もよいでしょうが、医学的に有効性は証明されてなく、小さい子は大抵いやがりまので無理強いはしなくてもよいでしょう。


 家庭で気をつけることとしましては:すっぱいものや、よくかまなくてはいけない食べ物は避けましょう。余計に痛くなります。痛みが強そうなときは、噛まずに飲み込めるものを与えます。牛乳や味噌汁、ポタージュ・スープ、プリン、ゼリー、おかゆ、とうふ、グラタンなどがよいでしょう。入浴は、高熱があるときや痛みが強いとき以外は、かまいませんが、首周囲が炎症を起こしているわけですからあまり温まり過ぎないようにしてください。

保育園・幼稚園・学校は、腫れている耳下腺や顎下腺を押してみて痛みがなくなるまで休ませましょう。


 合併症としては髄膜炎が重要です(おたふく患者さんの約10〜20%に合併する)。髄膜炎の発症は、耳下腺炎を発症後1週間以内から、遅くても3週間までに起こることが大部分です。頭痛、嘔吐、ぐったりして起きてこなくなる、極端に不機嫌になる、などの症状に注意してください。

そのほか、稀な合併症としては、難聴、膵炎、脳炎、末梢神経障害、脊椎炎、睾丸炎、卵巣炎、糖尿病、などがあります。


 こんなときはもう一度診察を!:頭痛がひどいとき、何度も吐くとき、1週間たっても腫れがひかないとき、熱が5日以上も続くとき、耳の下の腫れが赤くなってきたとき、睾丸を痛がるとき、腹痛を訴えるとき。


 兄弟・姉妹がいる場合:潜伏期間(感染してから発病するまでの期間)は2〜3週間(平均18日)と長く、兄弟が発病する目安になります。しかしながら、約30%に不顕性感染(感染しても発病しない)が生じ、必ずしも同胞が発病するとは限りません。

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