現在の感染症の流行状況とワクチンの効果、副反応について改めてまとめて見たいと思います。
参考にした資料は「国民衛生の動向」「予防接種の手びき」「最新予防接種の知識」です。

       麻疹(はしか)
◆麻しん(はしか)
 麻しんウイルスの飛沫感染によって起こる病気です。伝染力が強く、一生のうちに一度は必ずかかる重い病気です。発熱、せき、鼻汁、めやに、発しんを主症状とします。最初3〜4日間は38℃前後の熱で、一時おさまりかけたかと思うとまた39〜40どの高熱と発しんが出てきます。高熱は3〜4日で解熱し、次第に発しんも消失します。しばらく色素沈着が残ります。
 主な合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎があります。患者100人中、中耳炎は7〜9人、肺炎は1〜6人に合併します。脳炎は2,000〜3,000人に1人の割合で発生がみられます。また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という慢性に経過する脳炎は約10万例に1例発生します。また麻しん(はしか)にかかった人3,000人に1人の割合で死亡します。わが国では現在でも年間約50〜80人の子がはしかで命を落しています。

◆麻しん(はしか)ワクチン(弱毒生ワクチン)
 1歳から2歳の間にかかる子が多くなっています。1歳になったら半年以内に麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を受けるように努めましょう。2歳前までに必ず受けておきましょう。集団保育(保育園等)をはじめる前に済ませておくことが必要です。
 ガンマグロブリンの注射を受けたことのある人は3ヵ月から6ヵ月たってから麻しんの予防接種を受けてください。(ガンマグロブリンは血液製剤の一種でA型肝炎等の感染症の予防目的や重症の感染症の治療目的などで注射することがあります)

 

トピックス

その1

平成18年度から麻疹ワクチンは2回接種が公費で可能になりました。厚労省は平成18年4月から麻疹風疹のワクチン接種を2回にすることを決定しました。新2種混合ワクチン(MRワクチン)が使用され、麻疹と風疹の混合ワクチンとなります。


具体的には:生後12ヶ月から24ヶ月の間に出来るだけ早く1回目(1才過ぎたらすぐ接種しましょう)
2回目:小学1年生になる1年前から就学するまでの年長さんの間にもう1回追加接種します。
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その2

平成19年の全国で発生した麻疹流行への対策として、厚生労働省は平成20年4月より、中学1年生および高校3年生に毎年公費で麻疹ワクチンの接種を行うことを決定しました。

(注意)公費接種まで何年も待つ学年のお子さん(例えば平成20年度の中学2年生など)は3年も4年も待つよりは自費でもいいから早めに2回目のMRワクチンを接種するという考え方もあります(院長はそちらを支持します)。

 

◆麻しん(はしか)ワクチン(弱毒生ワクチン)の効果
1回のワクチン接種で95%以上の人に免疫ができます.なお免疫ができても10年ぐらいたつと次第に免疫が弱くなって麻疹にかかる人も数%あります.そのため将来は2回接種になる可能性があります.(米国などでは2回接種です)。なお,どんな予防接種でも100%有効なものはないことをご理解お願いいたします.
 1987年から1993年の麻しん報告例のうちワクチン接種歴ありだった人の割合1.56〜2.09%でした。また、地域の接種率が80%を越えると麻しん流行を抑制する効果もありますが、50%以下になりますと麻しん流行にたいして無防備と考えられています。亜急性硬化性全脳炎の発生率はワクチン未接種者で約10万人あたり1人であるのに対し、ワクチン接種者では0.1人になるといわれています。

【副反応】
 このワクチンは弱毒生ワクチンですからウイルスが増えるため、接種の1〜2週間後に約20%の人に37.5°C以上の発熱が見られ,また10〜20%に軽い発疹が認められます.発熱は1〜2日,発疹は2〜3日で治ります.発熱に伴って熱性けいれんを起こすこともあります(200〜300人に1人).またごくまれ(100万人に1人程度)に脳炎の発生も報告されています。
またまれにワクチン添加物による接種部位の発赤腫脹、じんましん、クインケ浮腫、呼吸困難、アナフィラキシーショックなどの急速なアレルギー症状が出る場合があります。

以上のように,麻疹ワクチンはやや副作用の多いワクチンですが,麻疹自体が重い病気であり,したがってワクチンの価値もまた大きいのです.お子さんの健康な成長のために必要な予防接種と考えられます。

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