2016年2月23日に日本小児科学会が日本脳炎ワクチンの生後6ヶ月からの早期接種についてのステートメントを発表しました。

https://www.jpeds.or.jp/modules/news/index.php?content_id=197

 

現在、日本における日本脳炎ワクチンの1期の標準的接種時期は、初回接種として3歳に達した時から4歳に達するまでの期間に、6日以上(標準的には6日から28日まで)の間隔をあけて2回、初回免疫終了後6か月以上(標準的にはおおむね1年)あけて1期追加として4歳に達した時から5歳に達するまでの期間に1回となっています。

ただし、定期接種の1期として接種可能な時期は生後6〜90か月となっており、希望すれば生後6か月以上であればいつでも接種可能です。

日本脳炎ワクチンは、定期接種のうちで標準接種齢下限が接種可能齢下限に一致していない唯一のワクチンです。

推奨接種時期以前の発症(感染して発病)が確認されており、なおかつ生後6か月から接種可能なワクチンであるにもかかわらず、今まで何の動きもなかったのがおかしいくらいです。

 

 

今回発表されたステートメントでは、

     日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児

     最近日本脳炎患者が発生した地域

     ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児

に対しては「生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨される」と記載されています。静岡県に住む小児は「ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域の居住する小児」に該当します。

 

 

 

接種の実際

 

3歳のお子さんには保健センターから接種券が郵送されます。通常の予約(当日あるいは前日に電話予約)をなさって、接種券を持って受診してください。

それ以前(生後6ヶ月以降、3歳になる前に)接種を希望される方は、各地区の保健センターで日本脳炎ワクチンの接種券の発行をうけてください(公費で接種できます)。

 

参考

世界の日本脳炎流行地域:

http://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2016/infectious-diseases-related-to-travel/japanese-encephalitis#4640

国内のブタの日本脳炎抗体保有状況:

http://www.nih.go.jp/niid/ja/je-m/2075-idsc/yosoku/sokuhou/6010-je-yosoku-rapid2015-15-map.html

最近日本脳炎患者が発生した地域

熊本県で2006年に3歳児、2009年に7歳児、高知県で2009年に1歳児、山口県で2010年に6歳児、沖縄県で2011年に1歳児、福岡県で10歳児、兵庫県で2013年に5歳児の報告があります。また、2015年千葉県において生後11か月児の日本脳炎症例が報告されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 参考

日本脳炎ワクチンの

バランスシート(詳細は上記の説明を参照)

 

  自然罹患 ワクチンの副反応%
死亡 15% 1/1000万
後遺症 1/3

1/100万

急性散在性脳脊髄炎

1994年〜 2100万接種で17例

治療法 なし