「伝染性軟属腫」(でんせんせいなんぞくしゅ)というウイルスによる良性のイボです。ウイルスが皮膚の表面から侵入して発症するため、皮膚に障害があれば感染しやすくなります。水イボは、ほうっておいても1年〜2年ぐらいで自然に治ることがほとんどです。かゆくなることは時々ありますが、ひどく痛くなるようなことはなく、全身に与える影響はまったくありません。アトピーの子供は、普通の子供より水イボになりやすく、広がりやすいです。


イボの表面はつるっと輝いてます。大きさは1〜3ミリほどで、体のどの部分にも出る可能性があります。引っ掻くと、化膿することがあります。掻く事によりイボの内容物(軟属腫小体)が飛び出して、ウイルスが周囲の皮膚に拡がったり、爪を介して別の皮膚でうつっていきます。 他人にうつることはもちろんありますが、ちょっといっしょに遊んだらすぐにうつってしまうほど確率の高いことではありません。


プールでうつるかというと、プールの水の中では皮膚の表面を常に塩素殺菌をしているようなものですし、通常の塩素濃度でウイルスはすぐに死んでしまします。
うつるのはプールの水の中ではなく、肌を直接露出した子供が一緒にいて接触する更衣室やプールサイドの方です。一応、ビート板やタオルは共用しない方がよいと思います。


プールに入ってもよいか?:水いぼがあるからという理由だけでプールを禁止されることはいまではありません。自分の体の表面での広がって行くパターンは、水イボを引っかいてイボがつぶれると、その指や爪の間にウイルスがくっついていて、その指で別のところを引っかくと、そこにうつってゆくと考えられています。他人にうつるのも、ひっかいた皮膚をこするあわせたり、ひっかいた指で友達にさわったり引っかいたりするのが、感染原因のかなりの部分を占めていると思います。

 

すなわち、水いぼが伝染する条件として、

  • 水いぼをもっていて、
  • 健康な角質(皮膚の表面の細胞の層)をひっかいたりしてウイルスや感染した細胞が露呈したような肌になっていて、
  • その肌を露出しているお子さんが、
  • 同じように皮膚表面の角質に問題がある(湿疹など)をもったお子さんの肌と
  • 何らかの方法で接触(肌をこすりあわせる、ビート板を共有する、爪でひっかかれる、など)をもったときに、

これらの条件が重なったとき、はじめて、感染する可能性があると考えています。

ですからプールだけでなく教室でも十分にうつることはあります。水イボをとる処置をしても100%とれるわけではありませんから、うつる確率が減るとは思いますがゼロにはなりません。
つまり、厳密なことを言い出したらきりがないということです。

このように私は、水イボがあってもプールに入ったっていいとお話してきましたし、厚生労働省や各医師会も水いぼでプールを中止する必要はないといっています。



治療に関しては、とるべきだと言う医者と、とる必要がないと言う医者に意見が分かれます。

いろいろな意見、方法があります。

 

保存的方法:

基本的に私はとる必要がないという考えでやっています。全身に与える影響が全くなく、1年から2年くらいで自然に治ってゆき、多少痒いぐらいで自覚症状もあまりなく、うつる頻度もそれほど高くなく、再感染も起こらない病気なのに、痛い思いをすることはないという考え方です。

しかし、感染源になる可能性はあります。エチケットとして、ひっかかない、ひっかかないように日ごろから皮膚のお手入れをきちんとする、爪を切る、などの配慮は欠かさないようにすべきです。なお、一度かかって治った後は、免疫ができるので、再びかかることはありません。

 

漢方薬のヨクイニンエキスの内服 :

漢方薬のヨクインニンには免疫力を高め、抗ウイルス作用があるといわれています。 正確な有効率は不明ですが、近年見直されています。

やや多目のしっかりした量のお薬を長期(2〜3ヶ月)にわたって服用したばあい、かなりの効果が期待できます。

全身にできてしまってピンセットで取るのが大変な場合、顔にある場合、痛い思いをさせたくないが早く消失させない、などの要望のあるときのひとつの選択肢になります。

 

専用のピンセットで水イボを取る治療:

私も昔はやっておりました。痛みを抑える局所麻酔用のテープを貼ったりしてとってましたが、はっきりいって小さなものまで全部とることは不可能です。まわりに感染してまだ発症していない水いぼはみつけられませんので、初回の水いぼ取りで完治は難しいと思います。ですから、水イボを取る治療をやったら、もううつらないかといえば、取りきれなかった水いぼが発生してきて感染源になる可能性はあります。

 

硝酸銀の溶液を塗るという方法:

40%硝酸銀(腐食剤)に25%の小麦粉を混ぜて、先の細い綿棒につけて、水いぼの先端のみに塗布し乾燥させます。 痛みは無いのですが、取れるまで2週間もかかるのが難点です。この方法も小さなものまで全部とることは不可能です。

 

シメチジン内服療法:

漢方薬のヨクイニンエキスの内服と同じく免疫力の強化を目的に、長期間(2ヶ月程)胃潰瘍や胃炎で用いる薬剤を内服する方法が外国の医学雑誌に報告されました。顔面を含む体中にできたお子さんに使用した経験があります。確かに効果が認められました。欠点は、保険適応外であること、飲みにくい薬剤をかなりの量を長期間のむこと、薬の副作用などです。適応は限られると思います。

 


坑ウイルス剤などの外用:

現在臨床試験中で実際には使用できません。多分5〜15年先に実際に使用できるようになるかもしれません。 ヘルペス用の坑ウイルス剤などの外用が効果があるという話(うわさ)がありますが、採用機序からいって余り期待できません。

 

このように、水いぼ取りにはいろいろな方法があり、様々な患者さんのニーズに答えられるように、いくつものオプションを持って診療にあたっていくべきと考えます。

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